2018/12/11

穴のない器に植えるための培養土。セラミス、ネオコール、ハイドロボールなど。

近年園芸もすっかりおしゃれになり、器も含めたトータルの美しさを楽しむ方が増えました。通常の鉢植えでは、鉢底に穴が開いているため、室内では鉢の底から出る水と湿気から置き場所の床や家具を守るために鉢皿を置きます。しかしこの鉢皿は鉢とセットのものならまだ美しいのですが、鉢とデザインがあわないものではどうも見た目が微妙になりやすいですね。
そこで一時ラッピングペーパーで鉢をカバーすることが流行して、今もその流れはありますが、あれはあれで底にたまった水が捨てられず、鉢の通気性も極めて悪いことから、ラッピングをはずさないとうまく育てられません。
そこで鉢と鉢皿がセットになっているものに植え替えることになるのですが、鉢皿にたまった水の処理が面倒なのと、鉢皿が汚れてしまって見た目が悪いという状態は改善されないため、いっそ穴が開いていない器に植えられないか?ということになります。
古い順にいうと、30年以上前に開発されたのがハイドロカルチャー。純度の高いガラスの器にハイドロボールという特殊な茶色い焼き物のボールを入れて根腐れ防止剤と併用して育てるものでした。しかし日当たり具合とか水のやり方難しく、うまく育てることは至難の業でした。
そこで20年ぐらい前に日本に入ってきたのが、ドイツで開発されたセラミス。これは土をレンガのように焼いたものを細かく砕いたような人口の培養土で、微細な穴がたくさん開いているために、その穴が根っこから出る老廃物を吸着してくれるという優れものです。根腐れ防止剤も必要なく、うまくいけば10年ぐらい使えます。発根性もよく植物にも優しい人口培養土です。
その後セラミスの成功に刺激されていろいろなメーカーから同じような穴のない器で育てる培養土が出ましたが、多くは消えてなくなり、今残っているのは高知県産の間伐材を炭にしたものから作られているネオコール。こちらは当店でも時々使用していますが、育ち具合はとてもいいです。色が何色かあるのも日本人好みですね。おすすめです。
他にもゼリー状のボールやらガラス玉としか思えないものやら、100円ショップにすらいろいろ売ってますが、多くは育ちも悪く、根っこの固定力も弱いものが多いので、トライしないほうがいいと思います。植物を育てるのは根っこを育てること!と肝に銘じて、信頼のおける商品で、穴無しの器に植えてみてください。きっとすっきり奇麗な仕上がりで、なおかつよく育ってくれると思います。

2018/11/22

バーク堆肥がおすすめ。

花の土の話でちょっと思い出しました。最近では花屋さんでいろんな種類の土を扱っているところも少なくなってきて、土を買うならホームセンターという感じになってしまいました。何を隠そう当店も販売用の土を扱っていません。。。

 

ホームセンターにはいろんな種類がありますが、その中でも堆肥というのがいろいろ売っています。これがボリュームのわりにとてもお安いのです。その中でもバーク堆肥というものは、普通の培養土に25%ぐらい混ぜても問題なく成長します。というか、堆肥の肥料成分がじっくりと効いて、生育がかなりいいというのが感想です。

 

安すぎるせいかあまり紹介されませんが、長年使ってやせた土を復活させてくれますし、庭の土にガンガン混ぜることもでき、とってもおすすめです。ぜひ一度お試しください。

2018/11/21

赤玉土とか腐葉土とか培養土とか

園芸書やテレビの趣味の園芸を見てると、いつも出てくるのが赤玉土や腐葉土といった土の名前です。他にも鹿沼土・日向土・ケト土・ピートモス・パーライト・バーミキュライトなどなどたくさんありすぎてなかなか覚えられませんね。園芸を続けていると徐々に覚えていくので最初はいわれたままにやっていればいでしょう。
園芸は「芸」の世界ですので、作業を単純にレシピ化することが難しいため、品質が均一の、上に書いたような専門の用土を混ぜ合わせることが多いのです。ですから本やネットの作成者により、多少違う配合になっていることも多くあります。ただすべてそろえるのも混ぜ合わせるのも大変ですしお金もかかります。

そこでもともと混ぜ合わされている培養土というものもあります。ホームセンターなどには「花の土」とか「野菜の土」などと書かれているものです。これは花と書いているから野菜には使えないとか、そういうことではなく、大体の植物に使うことができます。例外は次のもので、観葉植物用の土は水はけがかなりよく、多肉植物やサボテンの土は保水力がかなり低く普通の植物は育ちません。まずは花か野菜の土で草花を植えましょう。
お店では安いものから高いものまでさまざまで、何を買えばいいのかわからないことも多いです。そんな時には、一番安いものは避けてください。そしてむやみに高価なものも必要ありません。下から2か3番目ぐらいのものを購入することをお勧めします。一番安いものはだいたい水はけが悪かったり不純物が多かったりして、そのままではうまく育たず、結局腐葉土やパーライトなどを混ぜないといけくなりかえってお高くなり手間もかかります。
料理でいえば、赤玉土などの専門用土は塩や砂糖などの調味料単品で、混ざった培養土はお鍋のダシや中華のレトルト調味料のようなもののような、簡単に作れる配合になっているのです。どちらがいい悪いということではないのです。

2018/11/20

根っこも呼吸しています

久しぶりに花屋的植物論のコラムを続けます。ここまで光がご飯だというお話や、水やりについてお話してきました。植物を育てることは根っこを育てることということも書きましたが、そうであれば根っこの環境である土がとても大切なことはご理解いただけると思います。土が悪ければ根っこは育たないからです。

では悪い土とはどういうものでしょうか。
そもそも根っこは水を吸い上げ、植物の体全体を支えているものと考えられます。それはもちろん正しいのですが、見落としがちなのは、基本的には根っこも呼吸しているということです。ですので土には空気が必要になります。

園芸の勉強をしていると、「土の団粒構造」という言葉が出てきます。これは土が粒状になっていて間に空気の隙間がある状態のことです。この隙間は時間とともに、そして根が張る圧力でつぶされなくなっていきます。ですので植え替えをすることで、あるいは土を堀り返して耕すことで、土の中に空気を取り込みます。この空気が土の中に豊富にあることで、根の発育が促進されそれに比例して土の上の部分も大きく早く育つことになります。
つまり粘土のような空気の隙間がない土は基本的には植物が育ちにくいということになります。もちろん植物により例外はあり、例えば稲は粘土質の土が好みで、根っこがある程度水没しても大丈夫です。植物にもいろいろありますが、ここではよくある一般的な草花を想定してお話ししています。
また空気だけではなく、もちろんのこと水を保持する能力も必要です。


自然界では耕す行為はなかなか行われませんが、実際には雨が間隔をあけて振ることで以下のようなシステムで空気が取り込まれます。
雨がたくさん降って根っこが水没するような場合、土の中の空気は上に出てしまいます。しかし雨がやんで水が下にひいていくと、隙間に上から新しい空気が入ってきます。適度に雨が降って土の中が水浸しになることで、土の中にたまった二酸化炭素が多い空気は押し出され、新鮮な空気と入れ替わるという、自然の営みのすばらしさが見られます。ただ空気の入る隙間は多くないので、空気を多く必要とする植物と少なくていい植物により、土の中での根っこの住み分けが起こっています。

とにかく、植物の根っこに空気を与えることが大切!というお話です。

2017/12/04

シクラメンの底面給水鉢の水やりは

冬場12月ごろは花やの店頭にはシクラメンがたくさん並びます。年間通して簡単な管理で半年近く花が咲き続けてくれる貴重な花の鉢植えです。冬場の寒い時期でも、ベゴニアやラン鉢でも2~3か月がいいところですから、まさに花鉢の王様かもしれません。近年は鉢の底に鉢皿のようなものがはめ込まれていて、その横に一か所水を入れる穴があって、そこから水を入れてためておけばいいというタイプのものです。もともとシクラメンは、球根植物なのですが、中心の葉っぱやつぼみがたくさん出ているところを濡らすと病気になりやすいという弱点があり、水やりは葉っぱをもち上げて株の中心を外して周辺の土の部分にやるのが正しいとされてきました。しかしシクラメンは葉っぱがあふれんばかりについていてやりにくく、またどうしても上から水をやってしまう方が多いことから、この底面給水鉢が早くから普及しました。

メリットは病気になりにくいこと以外にも、水をためておけるので水やりの頻度が少なくなること、鉢皿にたまった水を捨てる必要がないこと、といったメリットもあります。他にも生産者が鉢を育てる時の省力化や鉢が汚れにくいなど、商品が作りやすいというメリットもあります。
しかし最近ではシクラメンをラッピングして販売することがほとんどで、吸水口がペーパーでふさがれてしまうことから、かえって水やりがしにくく、結局昔と変わらず葉っぱをもち上げてみずやりをせざるを得ないという状況もあります。そのあたりの悩みはとりあえず置いといて、底面給水のポイントを解説します。

底面給水鉢の皿の部分を外しますと、だいたいは幅2㎝ぐらいのフェルトのような厚い布が鉢の底から垂れ下がっています。それが毛管現象で水を吸い上げる仕組みです。若い人は知らないでしょうが(笑)アルコールランプと同じ仕組みですね。
この仕組みの場合、ほとんど空気の入れ替えが起こりませんから、培養土には空気を保持する機能が高いものを使う必要があります。また苗を植え付けてから根が鉢に中にしっかり張るまでは底面からではなく土に水をやる必要があるでしょう。
私としては、底面給水鉢であっても、空気の入れ替えをするためにも、たまには土の上から水をやったほうがいいのかなと思っています。また底にたまった水を吸い上げることについては、それほど問題はないように思われます。土の上からしっかりと水をやって底まで水が出るようにし、その水を全部吸い上げて底にたまっていない状態になったらまたたっぷり水をやる、その繰り返しがいいのかもしれません。ただシクラメンは水切れを起こすと、バッサリと花と葉っぱが崩れてしまい、水をやってもきれいに復活しないことも多いです。ですので、鉢底の皿に常に水を張っておくというのでもいいと思います。このあたりは花との付き合い方によって自分に合った方法でいいのではないでしょうか。

2017/12/03

雨が降った時の水やりってしたほうがいいの?

今回は鉢植えではなく、屋外の水やりについてです。

庭や畑など屋外に直接植え付けている植物は、自分が必要とするだけ根を張ることができますので、水やりについては鉢植えほど難しくありません。真夏でも2日に1回の水やりで十分大丈夫な場合が多いです。もちろん日当たりや風の通り具合などのほか、特に土の状態によりますし、植えているものが何なのかによっても変わります。例えばヒマワリなどは水をものすごく吸い上げます。水はけが悪くて湿り気が多すぎる畑の水を減らしたいときにはヒマワリを植えるといいと言われるほどです。
このように条件はいろいろですが、基本的には直植えは水やりに関してはかなり楽です。ただ屋外特有の条件として、雨が降る!ということがあります。これが意外と落とし穴なのです。

雨が降ると水をやらなくていいと思う人は多いのですが、人間の感覚はいい加減なもので、3㎜ぐらいの降水量であっても「雨が降った」と考えてしまいます。しかしよく考えると3㎜の降水量というのは全体に3㎜の厚さの水をやったことと同じで、真夏でしたら表面の土が濡れる程度であっという間に乾いてしまいます。そうすると雨が降ったからといって水やりをしなかったばっかりに、かえって水切れが起こってしまうということもあります。水やりを省ける降水量としては、できれば10㎜ぐらいの降水量は欲しいところです。

またもう一つ難しいのが、外に置いている鉢植えです。玄関先においてあるプランターや鉢植えは意外と多いのではないでしょうか。直植えであれば根っこがかなり深くまで伸びていますので、多少表面が乾いても水を吸い上げることができますが、鉢植えの場合水はすぐ乾いてしまいますし、そのうえ外に置いていると日当たりもよく風も通るため、室内よりももっと早く乾きます。そこに3㎜ぐらいの雨が降った場合どうなるでしょうか。底の穴から水が出るほどの水の量でないことは明らかです。。。これで水やりを一回やめてしまうと、植物はかなり危険な状態になってしまいます。

私達花屋の店頭には、花の苗などが多数ありますが、外に置いてある鉢植えとほぼ同じ状況です。なので雨が降りそうな微妙な日に水やりをするかどうかはとても難しい判断となります。しっかり振ることが予想されていれば水やりを控えますが、
にわか雨ぐらいの場合には、あえて雨が降り出す前に水をやります。なぜかって?雨が降っているときや雨が降った後に水をやっていると、この花屋さんはどうかしているんじゃないか、などと思われることにビビッているんですね(笑)。皆さんもにわか雨程度の日には先に水をやると、雨が降ってもふらなくても心配しなくていいのでいいと思いますよ。

2017/12/02

水やりは何日に1回?

よくお客様から水やりは毎日ですか?とか、何日に一回ぐらいですか?といった質問を受けます。ここまでのコラムをお読みの方なら、土の表面が乾いたらたっぷり水をやる!という基本はご理解いただけたと思いますが、やはり規則正しい生活をしている現代人としては、スケジュールにしてしまいたいという気持ちはわかります。なので、どうしても何日に一回かにこだわるお客様には、今なら〇日に1回ぐらいですね。夏になったらもっと回数を上げてください、といったお話をします。

しかしなのです。ここで問題になるのは、置き場所の環境による!ということです。例えば気温の高い部屋は早く乾燥しますが、寒い部屋はなかなか乾きません。また、日当たりがかなり良ければ乾燥は早くなりますし、エアコンが効いていて乾燥気味の場所ならあまり明るくなくてもどんどん乾きます。また、たくさん植物を置いていて部屋がジャングルの一歩手前みたい!という方もまれにいらっしゃいますが、その場合は植物がはきだす呼気のせいでかなり湿度が高い場合が多く、水やりはかなり減らせます。また意外な例として、美容院やうどん屋さんなど、湿度(湯気)が発生している環境ではやはり湿度が高めなので、水やりは少なめでいいですし、植物は大変元気に育ちます。

結局、葉っぱから水気が乾燥していく分を補うために水をやっているわけですから、何日に一回ということは環境によって変わってしまいます。わかりやすく考えると部屋に干した洗濯物が乾くスピードをイメージしてください。夏は部屋干しでも結構乾きますが、冬はなかなか乾きませんね。たくさん干したらほんとに乾かなくて困ってしまいます。基本的に植物も洗濯ものも同じです(笑)。なので、水やりのタイミングは環境により変化しますので、表面が乾いたら底穴から出るまでたっぷりと水をやる、という表現にならざるをえないのです。

夏の花壇や鉢物は毎日か2日に一回ぐらい水をやらないといけない状況であることが多いです。このような時に旅行に行くので水がやれない!という場合もありますが、そういう時には使用済みのペットボトルのキャップを差し替えてさかさまに土に挿して、少しずつ水を補給するという専用のキャップが売っています。これは旅行などで間隔をあけて水をやることができない場合の非常手段で、
やらないと枯れてしまいますから使うのは賛成なのですが、土の中が常に湿った状態になってしまいますので、普段に使用するのはよくありません。あくまで非常時専用と考えてください。

2017/11/30

植物を育てることの半分は根っこを育てること。

前回の復習をまずしておきますと、鉢植えの水やりの基本は、鉢の表面が乾いたら、そこ穴から水が流れ出るぐらいにたっぷりと水を与える、ということでした。これは根っこに空気を与えられる有効な方法だからです。しかし植物は環境に合わせることで進化しましたので、そうではない例外の植物もあります。例えば藻や海藻など完全に水没して生きていくものもありますし、そこまで極端でなくてもアザレアやつつじの仲間のように、いくら水をやってもいいものもあります。また稲は水を張ったり抜いたりしながら育てると大きく育ちます。

稲は田植えの時には水を張った状態の田んぼに植えます。そして根が活着してある程度大きくなるまで水を張ったままにします。その後水を抜いて育て途中で水を張って水分を補給したり空気を補給したりしながら育てると、一番大きく育ってたくさんのコメを収穫できます。
この方法は日本ではとうの昔から確立されていますが、たぶん農業が始まったころはこうではなかったかもしれません。ぐうぜん梅雨時期に長雨があって、そのころに植えた苗がよく育ち且つ植え付けが楽であることから、なるべく水が張りやすい梅雨時期に田植えをすることが確立したのでしょう。また途中で水を抜いてかなりドライな状態で育てますが、これも梅雨明けに水が切れた時のほうが収量が多いことを理解して、あえて水を抜くという管理方法が確立したと思われます。つまり偶然に起こる気象条件の違いから収量がいい時の状況を分析し、一番楽に大きく育てる方法を確立していったのだと思われます。(稲作は最初は直播であったろうと思いますが、ある程度間隔をあけて育てたほうが多く収穫できることや、稲を植えている以外の時期を他の作物を植えることで有効活用したりすることができるなどのメリットから、苗を育ててから田植えをするという方法が確立したものと思われます。)

ここで重要なことは、人間は植物に対してとりわけ何かしているのではありません。やっていることは根が多く張るために水の量を管理しているだけです。もちろん雑草を抜いたり鳥に食べられないようにしたりといった管理もしますが、直接稲という植物にかかわっているのは、いかに根っこを元気に大きく育てるか、ということです。
これは鉢植えの植物においても同じで、田んぼよりはるかに狭いスペースで管理するためにはもっと細やかな管理が必要になります。いずれにせよ、
植物を育てることは根っこを育てること!そう思ってもあながち大げさではありません。地味で目に見えない根っこをイメージして育てられるようになれば、もう園芸初心者は卒業です。

2017/11/29

水やりは水をやっているだけではありません。

植物を育てていて、皆さんが一番気になるのが水やりです。前回書いたように本当は暗さが原因で枯らしてしまうことが多いのですが、やはり水やりもやり方によっては深刻な状況になってしまいます。ここからはしばらく水やりについて書きたいと思います。

水やりというぐらいですから、植物に必要な水を与えているのが水やりなのですが、実はやっているのは水だけではなく、新鮮な空気を与えているという視点が大切です。

根っこは水を吸収し、植物を支えている器官なのですが、植物の体はすべて呼吸しているので、根っこもまた呼吸しています。人間も皮膚呼吸をしていますが、それと同じような感覚です。呼吸は酸素を取り込んで二酸化炭素を排出するのですが、要は土の中に新鮮な空気が必要になるわけです。

鉢植えの水やりは、基本的には(多くの植物においては)、鉢の表面の土が乾いたら底の穴から水が出るぐらいの量の水を与える、というのが正しいやり方です。この水やりをした場合に鉢の中ではどんな状態になっているのでしょうか。

底穴から水が出るくらいのたっぷりの水をやると、いったん鉢の中は水で満たされます。そして底の穴から水が抜けていき、土の上にたまっている水は下にひいていきます。水で満たされているときには、鉢の中にはほとんど空気は存在しません。水浸しの状態です。そして穴から水が抜けていくと上から水が引いていきますが、水が引いた状態というのは隙間があるということで、隙間があれば間違いなくそこには空気が存在します。つまり水が引いていくにつれて、鉢に中に上から空気が侵入していくということになります。完全に水が引き、鉢底からもう水が出なくなった時点で、鉢の中の空気は新鮮な空気に更新されています。

この空気があることで根っこは呼吸ができるのです。呼吸ができれば根っこの細胞は活性化し元気に活動します。その結果として呼吸をし、徐々に二酸化炭素を放出します。この二酸化炭素は土の中の空気はそうそう入れ替わらないので、どんどん濃度が上がってしまいますが、水がなくなるにつれて少しづつ新しい空気は上から入っていきます。それでも二酸化炭素の濃度は上がってしまうのですが、そのころには水が切れますので、次の水やりの時に新しい空気を入れてやればまた新しい空気で呼吸をすることができます。

時々水を切らすことを恐れるあまり、あるいは水やりを日課にしてしまって、少量の水を毎日与えるという水やりをする方がいらっしゃいます。この方法では水は切れませんが、空気の入れ替えがほとんどできませんので、結局呼吸ができずに細胞が死んで腐り始めます。これが根腐れという状態です。

 

つまり鉢植えの水やりというのは、水を与えているだけではなく、新鮮な空気を与えているのだ!ということを理解すれば、水やりは間隔をあけて、土が乾燥してきたらたっぷりと与える、という方法が正しいことが理解できると思います。この「なぜそういう方法なのか」という視点で考えることが、園芸上達の近道でしょう。

2017/11/21

鉢植えはなぜ育てるのが難しいのか

鉢植えというものがあるおかげで、庭や畑がない方でも植物を楽しむことができます。しかし実際は鉢植えを管理することは大変難しいのです。皆さん鉢植えを当たり前のように育てていますが、実際は鉢植えは植物にとって不自然極まりない環境で、少し環境が合わなければすぐに枯れてしまう危険性を持っています。

そもそも植物は外で育つとしたものです。様々な環境があるとはいえ、植物は自分が必要とするだけ根を伸ばし、太陽の光を存分に浴び、あるいは木陰の明るさを好んで育ったりします。そのような自由な環境で育つべき植物を、鉢という狭い環境に移すことで何が起こるのでしょうか。

まず小さな鉢で育てることで、根が自由に張れないということが起こります。そもそも
根っこが伸びた分に比例して葉っぱや茎や地上の部分は育ちます。言い換えれば、根っこがたくさん出せるほど大きく育つのです。欧米の園芸書を読むと、root system という言葉で表現されていて、いかに根っこを元気にたくさん繁らせるかが園芸のキモだと述べられています。
そのためにはまず鉢が排水性・通気性に優れていること、そして培養土が保水性・排水性・通気性などに優れている必要があります。このあたりの話は後々詳しくお話ししたいと思いますが、要するにいかに狭い鉢の中に根っこをたくさん繁らせるかが大切で、これに失敗するとうまく育たない、あるいは枯れてしまうということになります。

もう一つ鉢植えにすることで起こることは、人間が動かしてしまうということです。植物は本来動かないで生きることを前提にしていますので、環境が暗めであれば葉っぱを薄くしたり茎をのばしたりして対応します。しかし鉢植えにすると人間は好き勝手に自分の置きたい場所に移動してしまいます。せっかく育ってきた環境に順応していた植物にとっては、移動して環境が変わると即生命の危機に直面してしまいます。生産者のハウスから出て、市場・生花店そしてお客様の自宅へと移動したあげく、生産者のハウスの環境に近いところに置いていただければいいのですが、なかなかそうはいきません。
また、しばらく暗いところに置いた植物(暗さに順応している)植物を、いきなり晴天の屋外に出してしまうというのも危険です。表面が薄くなった葉っぱが日焼けしてしまい、葉っぱの細胞が死んで光合成できなくなり、一気に枯れてしまうこともあります。

このように、鉢植えは管理がとても難しいのです。庭や畑といった広い環境で育てると、植物を育てることは意外と簡単なことが実感できるでしょう。もし鉢植えでお悩みの方は、花壇を作るか、それができなければ大きな鉢やプランターで育ててみることをお勧めします。そもそも植物は、地球という限りなく大きな入れ物で育っています。できるだけ広い場所で育ててみましょう。鉢植えは鉢が小さいほど難しいのです。
盆栽は小さな鉢で育てることで様々な効果を生み出すものですが、あれは園芸技術の極みです。一番難しい作業を見て、誰でも同じことができるものだとは思わないでください。

実は鉢植えというだけで、それを育てるのはものすごく難しい、という認識が必要です。

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