植物を育てることの半分は根っこを育てること。
前回の復習をまずしておきますと、鉢植えの水やりの基本は、鉢の表面が乾いたら、そこ穴から水が流れ出るぐらいにたっぷりと水を与える、ということでした。これは根っこに空気を与えられる有効な方法だからです。しかし植物は環境に合わせることで進化しましたので、そうではない例外の植物もあります。例えば藻や海藻など完全に水没して生きていくものもありますし、そこまで極端でなくてもアザレアやつつじの仲間のように、いくら水をやってもいいものもあります。また稲は水を張ったり抜いたりしながら育てると大きく育ちます。
稲は田植えの時には水を張った状態の田んぼに植えます。そして根が活着してある程度大きくなるまで水を張ったままにします。その後水を抜いて育て途中で水を張って水分を補給したり空気を補給したりしながら育てると、一番大きく育ってたくさんのコメを収穫できます。
この方法は日本ではとうの昔から確立されていますが、たぶん農業が始まったころはこうではなかったかもしれません。ぐうぜん梅雨時期に長雨があって、そのころに植えた苗がよく育ち且つ植え付けが楽であることから、なるべく水が張りやすい梅雨時期に田植えをすることが確立したのでしょう。また途中で水を抜いてかなりドライな状態で育てますが、これも梅雨明けに水が切れた時のほうが収量が多いことを理解して、あえて水を抜くという管理方法が確立したと思われます。つまり偶然に起こる気象条件の違いから収量がいい時の状況を分析し、一番楽に大きく育てる方法を確立していったのだと思われます。(稲作は最初は直播であったろうと思いますが、ある程度間隔をあけて育てたほうが多く収穫できることや、稲を植えている以外の時期を他の作物を植えることで有効活用したりすることができるなどのメリットから、苗を育ててから田植えをするという方法が確立したものと思われます。)
ここで重要なことは、人間は植物に対してとりわけ何かしているのではありません。やっていることは根が多く張るために水の量を管理しているだけです。もちろん雑草を抜いたり鳥に食べられないようにしたりといった管理もしますが、直接稲という植物にかかわっているのは、いかに根っこを元気に大きく育てるか、ということです。
これは鉢植えの植物においても同じで、田んぼよりはるかに狭いスペースで管理するためにはもっと細やかな管理が必要になります。いずれにせよ、植物を育てることは根っこを育てること!そう思ってもあながち大げさではありません。地味で目に見えない根っこをイメージして育てられるようになれば、もう園芸初心者は卒業です。
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