« 明るさが足りないと葉っぱを落として耐え忍びます。。。 | トップページ | 水やりは水をやっているだけではありません。 »

2017/11/21

鉢植えはなぜ育てるのが難しいのか

鉢植えというものがあるおかげで、庭や畑がない方でも植物を楽しむことができます。しかし実際は鉢植えを管理することは大変難しいのです。皆さん鉢植えを当たり前のように育てていますが、実際は鉢植えは植物にとって不自然極まりない環境で、少し環境が合わなければすぐに枯れてしまう危険性を持っています。

そもそも植物は外で育つとしたものです。様々な環境があるとはいえ、植物は自分が必要とするだけ根を伸ばし、太陽の光を存分に浴び、あるいは木陰の明るさを好んで育ったりします。そのような自由な環境で育つべき植物を、鉢という狭い環境に移すことで何が起こるのでしょうか。

まず小さな鉢で育てることで、根が自由に張れないということが起こります。そもそも
根っこが伸びた分に比例して葉っぱや茎や地上の部分は育ちます。言い換えれば、根っこがたくさん出せるほど大きく育つのです。欧米の園芸書を読むと、root system という言葉で表現されていて、いかに根っこを元気にたくさん繁らせるかが園芸のキモだと述べられています。
そのためにはまず鉢が排水性・通気性に優れていること、そして培養土が保水性・排水性・通気性などに優れている必要があります。このあたりの話は後々詳しくお話ししたいと思いますが、要するにいかに狭い鉢の中に根っこをたくさん繁らせるかが大切で、これに失敗するとうまく育たない、あるいは枯れてしまうということになります。

もう一つ鉢植えにすることで起こることは、人間が動かしてしまうということです。植物は本来動かないで生きることを前提にしていますので、環境が暗めであれば葉っぱを薄くしたり茎をのばしたりして対応します。しかし鉢植えにすると人間は好き勝手に自分の置きたい場所に移動してしまいます。せっかく育ってきた環境に順応していた植物にとっては、移動して環境が変わると即生命の危機に直面してしまいます。生産者のハウスから出て、市場・生花店そしてお客様の自宅へと移動したあげく、生産者のハウスの環境に近いところに置いていただければいいのですが、なかなかそうはいきません。
また、しばらく暗いところに置いた植物(暗さに順応している)植物を、いきなり晴天の屋外に出してしまうというのも危険です。表面が薄くなった葉っぱが日焼けしてしまい、葉っぱの細胞が死んで光合成できなくなり、一気に枯れてしまうこともあります。

このように、鉢植えは管理がとても難しいのです。庭や畑といった広い環境で育てると、植物を育てることは意外と簡単なことが実感できるでしょう。もし鉢植えでお悩みの方は、花壇を作るか、それができなければ大きな鉢やプランターで育ててみることをお勧めします。そもそも植物は、地球という限りなく大きな入れ物で育っています。できるだけ広い場所で育ててみましょう。鉢植えは鉢が小さいほど難しいのです。
盆栽は小さな鉢で育てることで様々な効果を生み出すものですが、あれは園芸技術の極みです。一番難しい作業を見て、誰でも同じことができるものだとは思わないでください。

実は鉢植えというだけで、それを育てるのはものすごく難しい、という認識が必要です。

« 明るさが足りないと葉っぱを落として耐え忍びます。。。 | トップページ | 水やりは水をやっているだけではありません。 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/96686/66070321

この記事へのトラックバック一覧です: 鉢植えはなぜ育てるのが難しいのか:

« 明るさが足りないと葉っぱを落として耐え忍びます。。。 | トップページ | 水やりは水をやっているだけではありません。 »

posy flowers SNS/HP

2018年12月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

What time now ?

フォト

コメントとトラックバックについて

  • 最近スパムのトラックバックが非常に多くなってきましたので、コメントトラックバックともに承認後の公開とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

おすすめ本!!

  • 石井 龍一: 役に立つ植物の話―栽培植物学入門 (岩波ジュニア新書 (355))

    石井 龍一: 役に立つ植物の話―栽培植物学入門 (岩波ジュニア新書 (355))
    岩波のジュニア新書ではあるが、普段誰でも食べている基本作物に多くのドラマがあり、日本の農業研究者もかかわっていることを教えてくれる、大人も(アンチ岩波の人も)読んでほしい一冊。特にコムギ・イネあたりまでが面白い。 **以下裏カバーより**  『人類の文明は、野生植物を栽培する技術を発明し、定住して社会生活を営むところから始まった。以来、作物は私たちと共にあり、人々は作物の改良に不断の努力を傾けてきた・・・』 (★★★★)

  • レン オークメイド: プランツ・イン・スタイル―鉢物を使ったフラワーデザイン‐プランツ・アレンジメントの作り方とアイデア

    レン オークメイド: プランツ・イン・スタイル―鉢物を使ったフラワーデザイン‐プランツ・アレンジメントの作り方とアイデア
    そろそろレンさんもいいお歳になっているはずなのですが、まだまだ新しいことにチャレンジし続けているようです。レンさんの洗練されたセンスが、新しいテクニックによってますます魅力アップ。たいしたものだと思います。スジが通っている方はやはり違いますね。。。 (★★★★★)

  • 宇田 賢吉: 電車の運転―運転士が語る鉄道のしくみ (中公新書)

    宇田 賢吉: 電車の運転―運転士が語る鉄道のしくみ (中公新書)
    マニアックでしょ(笑)私子供のころは軽く鉄ちゃんだったんです。お金がなかったので、時刻表系の鉄でしたが。これはなかなか素人にもわかりやすいいい本です。電車でGO!したくなりましたね。。 (★★★★)

  • : 発展コラム式 中学理科の教科書 第1分野(物理・化学) (ブルーバックス)

    発展コラム式 中学理科の教科書 第1分野(物理・化学) (ブルーバックス)
    今さら人には聞きにくい科学の基本。特に私のような文系で、高校で物理を取らなかったような人にはぴったり(笑)。発展コラムが、いまどきの製品などに即していて面白い。教科書というよりは、楽しんで読める科学書という感じです。 (★★★★)

  • 岸田 秀: ものぐさ精神分析 (中公文庫)

    岸田 秀: ものぐさ精神分析 (中公文庫)
    どちらかというとかなり哲学的だが、科学偏重のこの時代、哲学というか、文系最高レベルの内容。文系の人も理系の人も、読めば必ず目からうろこが落ちる。世の中の不思議に答えがあっさり出てしまう一冊。30年以上前の文章だが、まったく古臭さがない。必読。 (★★★★★)

  • 彩樹 かれん: うさぎのダンス

    彩樹 かれん: うさぎのダンス
    子供が小さいときに気に入って買った絵本。絵が少し漫画チックですが、とてもかわいいです。お花の絵もかわいくてお勧め。 (★★★★)

  • レン・オークメイド: テクニックインフラワーズ

    レン・オークメイド: テクニックインフラワーズ
    私の好きなデザイナーです。誰にでも「きれい」といってもらえる自然さがあります。デザイナーは新しいものを作り出し続けなければいけないような強迫観念に襲われますが、そんな時基本に返るにはいい作品です。 (★★★★★)

  • 江尻 光一: 園芸の極意

    江尻 光一: 園芸の極意
    園芸ファンなら知っている江尻センセの新書。育て方とかではなく、今の日本の園芸に欠けているところを鋭く抉り出すすごい本です。人間年取らないと、いい本書けないのかなぁ。。... (★★★★★)

調べごと

  • ググる
    Google

    ウェブ全体から検索
    ココログ全体から検索
    posy.cocolog-nifty.com内検索
無料ブログはココログ