新しい花ハサミがやってきた記念!花屋の鋏の長所短所をめった切り!?
今日は道具の話です。(ちょっとプロ向け)
花屋さんの道具といえば、なんといっても絶対欠かせないのが花鋏。思えばいろんなハサミを使ってきました。花屋さんのハサミはそんなに高くないので色々試してみたりします。でもドイツ製のはさみなんかは手が届かないお値段で、ちょっとあこがれてしまったりもしますね。
しかし驚くのは、かなりの数の欧米のデザイナーさんも日本のハサミを愛好していることで、カリスマ主婦マーサ・スチュワートの本にも登場していました。
この写真のものは、指の背中の部分を覆うようになっているもので「古流」タイプと呼ばれますが、これは開くときに簡単なのですが、指に当たる部分が痛くなります。また、太い枝などを切ったときに来る、パチンという振動が手に響くものが多く、また場所も取るので携帯性が悪く、私は使いません。ただ見た目がきれいなのであこがれるのでしょうか?
修行時代から私が使っていたのは、よくある池坊の花鋏。そこそこ切れ味もよく、耐久性もあり研ぎやすいので、今でも多くの花屋さんが使っています。
この写真左が、池坊タイプの花バサミで、30歳過ぎまで使っていました。こちらは勝手に開きませんので、中指をはさみの柄の内側に入れて、中指の背中で押すようにして使います。硬い枝を切るときは中指も外に出して切ります。また切るときにも、刃と刃を指の力で競り合わせるので、仕事で使いますと中指の背中にタコができます。。。
これ一本で、花も枝も、紙もリボンも切れますので、花屋さんにとってはありがたいハサミなのですが、さすがに中年になってきますと、バネのついた軽いはさみが楽になってきます・・・。
ということで写真右のバネのついたものになってくるわけです。
バネのついたものといえば普通は剪定ばさみ(マーサ・スチュワートの写真の左の赤い柄のはさみ)ということになりますが、写真のように刃の部分が大きく曲がっているものが多く、また紙やリボンやワイヤーはほとんど切れません。
そこでこの上の写真のタイプ(右の白い柄のもの)になってくるわけです。
このハサミはARS(アルス)さんのハサミで、ホームセンターなどにもよく売っているものです。買いやすい値段で最初はそこそこ切れますが、残念ながら耐久性がまあまあで、プロの仕事用としては頼りない・・・。結局、
いけばなのハサミは、切るのがつらい。
剪定バサミはよく切れるけど、植物以外がさっぱり切れない。
消費者向けのものは、耐久性にかける。
ということで私がセレクトしたのが、芽切り用の剪定ばさみです。
右側が今まで5年以上は使っていたものなのですが、新しいものがなかなか手に入らず、自分で研ぎながら使っていたのです。が、さすがに刃先が開いてきて切れ味も落ちてくるし・・・ということで、ようやく新しいものを無理を言って取り寄せることができました。
同じメーカー(丸修=マルシュウ)のものですから、手にはぴったりとなじみます。長さも刃の角度もまったく同じです。さらに現行型は柄の片方が滑り止めつきに改良されていて、こちらも使いやすそうです(以前のものは手から滑りやすかった・・・)。やはり5年も同じ物を使っていると、形が変わるとなかなか慣れることができないのです。
刃はストレートですが、剪定ばさみなので切れ味はいいです。太い枝でもがんがん切れます。またワイヤーやリボンなんかも切ることができるので、これ一本で大体の仕事ができてしまいます。
花屋さんによっては、腰からケースを提げて数本のハサミを持っている方もいらっしゃいますが、私は昔かたぎの花屋なので使い分けが面倒なのがだめで、また携帯性の面からもこれ一本!というのが大好きです。
ただこの芽摘(かき)ハサミというのは見てわかるとおり、小さな芽を切り取るためのハサミですので先端が細くとがっています。なので、足の上に落とすと大変な事故になってしまいますので、サンダルやパンプスで仕事をしている方(花屋さんには少ないはずですが)は使わないほうが無難です。これが足の甲に刺さったら・・・って考えるとぞっとしますよね。。。
以上プロのこだわりとともに、花屋が使っているハサミについてご紹介いたしました。あくまで私のこだわりで、多くの花屋さんはこのタイプを使っていませんので、あしからず。皆さんも自分にぴったりのこだわりはさみが見つかるよう、色々と試してみてください!
(*_ _)